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86(ZN6)

86の油温は上がりやすい⁉︎ オイルクーラー装着レビュー

86でサーキット走行を考えている方も多いと思いますが、油温対策はきちんとしていますか?

86はノーマルの使用では油温が上がりやすいことで知られています。油温対策をしっかりしていないと、大事なエンジンを壊してしまうことになりますので、サーキット走行をする方はオイルクーラーをつけてしっかりと対策しましょう!

この記事では、86の油温管理に関する私の経験談及びオイルクーラーについてのレビューを行っていきます。サーキット走行に向けてのオイルクーラーの選定や、愛車の油温管理の参考になれば嬉しいです。

エンジンオイルの温度管理について

唐突な話題ですが、エンジンオイルの性能が発揮できる温度には、上限があります。

何度までが上限か知っていますか?

そもそもエンジンオイルには、潤滑、洗浄、防錆、冷却などたくさんの役割がありますが、その中でも最も重要なのが、潤滑でしょう。この潤滑性能というのはオイルが適正な温度にあることでオイルの粘性が適度な状態になり、それにより十分な油膜をメタル表面に形成し、エンジンブロック内の金属を保護することが出来ます。

したがって、エンジンオイルの温度が低すぎるとオイルの粘性が高く(固く)、摺動抵抗が大きくなってしまい、パワーロスに繋がります。

そして、エンジンオイルの温度が高温になりすぎると、今度はオイルの粘性が低く(柔らかく)なりすぎることによって、十分な油膜を維持することができなくなり、最悪の場合、エンジンメタルの焼付きなどにつながってしまいます。

サーキット走行等の場面では、特にこのオイルの温度上昇が問題になることが多いです。

厳密な数字は、メーカー毎に異なるとは思いますが、エンジンオイルの温度(=油温)が130℃以上は良くないようです。更に上昇して140℃を超えてくるとオイルの粘性は更に下がり、本来の性能が発揮できません。

昔の空冷エンジン車や、大排気量のスーパーカーなどはさておき、現代の市販車において、一般道の走行で油温上昇が問題になることは通常ありません。しかしながら、サーキット走行等の高負荷走行を続ける場合には、メーカーが想定した条件を超えた高負荷により、油温が高温になってしまうことがあるのです。

このため、スポーツ走行を行う場合は、外付けのオイルクーラーなどを装着することで、クルマのエンジンオイルの温度管理を行うことが重要になってきます。

86の油温は上がりやすい?

86に採用されているFA20型水平対向4気筒エンジンは、従来のエンジン比べて高油圧でのオイル循環となっているそうです。従って、十分な油膜保持ができる適正な油温を維持することがより重要になると考えられます。

しかしながら通常モデルのTOYOTA86(ZN6)には、オイルクーラーが装着されていません

そして欧州車とは異なり、エンジンオイルの容量も5Lちょっとと、あまり多くないため、熱容量としても余裕がないのが事実です。

また、クルマの構造上、エキゾーストマニホールド(走行時非常に高温!)がオイルパンの直下を通ることも影響し、サーキット走行の際は非常に油温が上昇しやすいことが知られております。

86に純正装着されるTFTモニターの油温・水温計。

各チューニングパーツメーカーから様々なテストが行われていますが、私の86でも春や秋頃のスポーツ走行で、アウトラップを終えて一周目のアタックを終える時点で油温は120℃を超えてしまっていました。次の周回では早々に130℃付近まで油温が上昇したので、クーリングラップを余儀なくされる事となってしまいました。,また、メーカー実験では3周で油温が140℃付近まで上昇を認めたこともあったようです。

この問題を受け、サーキット走行を安心して行うために86の油温問題の解決に取り組むことを決めました。

オイルクーラー選定・装着①

86用オイルクーラーは当時も様々な種類が発売されており、選択肢は多かったです。オイルクーラーには大きく分けて、ラジエターの冷却水との熱交換器を用いて油温をコントロールする水冷式と、空冷コアを車両前方に設けて、強制的に油温を下げる空冷式の2種類があります。

空冷式は、構造がシンプルであることがメリットですが、車両前方に冷却コアをおくため、こちらへの飛び石等でコアを損傷した場合、オイル漏れの原因となりうることがデメリットとされています。

また水冷式オイルクーラーは、水温に負担をかける可能性があるということと、一般的に価格が高価であるということがデメリットとして挙げられていました。

86の場合、サーキット周回を重ねても水温は90℃付近で安定しており、油温に比べると余裕があることがわかりました。また、CUSCOから86専用水冷式オイルクーラーが当時60,000円程度で発売されており、他社の空冷式と比較して安価でもあったため、こちらのオイルクーラーを装着しました。

CUSCO 86&BRZ水冷式エンジンオイルクーラー 税込51,613円

オイルエレメント下に装着されたCUSCO水冷式オイルクーラー
オイルエレメント下に熱交換器を装着することにより、ラジエター冷却水の熱を利用したオイル冷却を図るパーツのようでした。

ラジエターのアッパホースから分流させた冷却水をオイルエレメント装着部の熱交換器に循環させることで、エンジンオイルを冷やすという代物です。

装着した結果ですが、残念ながら冷却効果は今ひとつでした。

メーカーのテストデータでは、油温が10℃近く低下しており、115℃付近で安定していたようですが、私がオートポリスインターナショナルレーシングコースを走行した際は、ノーマルの状態とほぼ変わらないタイミングで油温が120℃を超えました。

周回数も同様で、アウトラップの次の周回で120℃を超えてしまいましたので、サーキットスピードでの油温管理には、容量不足という結果になってしまいました。

峠を楽しく走る程度であれば油温は安定していますが、そもそもノーマルでもストリートレベルで油温が上がることはなかったので、、、

6万円も出したので、正直がっかりしてしまいました。。。

オイルクーラー選定・装着②

BLITZ RACING. OIL COOLER KIT RD 税込価格 9,2400円

なかなか諦めがつかなかったので、今度は空冷式のオイルクーラーを装着してみることに決めました。

当時は代表的にはHKSBLITZGReddyなどから発売されていました。

特にメーカーのこだわりもなかったのですが、HKSはバンパー内を一部加工する必要がるようなので、今回はバンパー加工も不要でスペックに対して安価でもあったBLITZ製の空冷式オイルクーラーを選択しました。

86に装着されたBLITZ製オイルクーラー
ラジエター右前に設置されたオイルクーラー。導風板もあるのでよく冷えます。オーバークールの際は導風板を外すといいですね。

取り付けた写真です。ラジエターの右前方に装着されています。

フロントグリル越しだとこんな感じで見えますね。

後述しますが、現在は改良品になっており、価格も安くなっているみたいです!↓↓

装着した結果ですが、9月のフリー走行に行ったんですが、周回を重ねても油温は110℃前後で安定していました!

これだけ油温が安定してくれれば、サーキット走行も安心ですね。

水温も90℃を少し超えたあたりで安定していたので、こちらも心配ないようです。

86の油温問題は無事解決! と思いきや・・・・

悲劇が・・・・

その後周回を重ねていると、イエローフラッグを降られました。しかも2本。要するに「とても危険」という意味です。すると直後に私の86のリアがやたら滑るようになり、後方には白煙が上がっているじゃありませんか。

リアタイヤのバーストか!と思って、後方確認を行いながらコース外の芝生エリアに停車すると、白煙はクルマのボンネットから上がっていました。

コースオフィシャルから「ボンネット開けて!」と言われ、言われたとおりにすると、オイルクーラーのエレメントとホースの接続部からオイルが吹き上がっており、直後、オイルがエキマニに引火して炎が上がりました。(注 ガソリンではないので爆発はしません。)

呆然としていると、コースオフィシャルの方の迅速な対応(CO2消火器噴射で、無事に鎮火しましたが、私のショックは大きく、頭の中は真っ白です。

エンジンを切って落ち着いた段階で、レスキュー車両に牽引されてパドックに帰ってきました。

隣のピットで作業をしていたショップの方に一緒に見ていただくと、オイルエレメント部に装着しているアタッチメントと、オイルクーラーへ向かうホースの接続ボルトが緩んでいました。それも二箇所が、手で回るくらいに!ここからのオイル漏れだったみたいですね。

取り付け作業の際にも感じたことですが、ここのクリアランスがかなり狭く、工具もかなり入れ難かったみたいです。

それでも作業内容に問題があった様には思いませんでした。ネットで検索してみると、BLITZのオイルクーラーでのオイル漏れは、他の方も経験があったようでした、、、

製品にばらつきがあるんでしょうか、、、

なお、現在はこの商品は販売されておらず、86用オイルクーラーは改良品が発売されていますね。

その後86はしばらくショップに入院になり、各部の締め付け確認や、炎による熱でホース類のダメージが無いかなど、点検してもらい、現在はオイル漏れなどなく経過しています。

純正で乗っている限りはこんな経験をすることはあまり無いでしょう。

チューニングカーに乗るというのはこういうことか・・・。と思い知らされる体験でした。

まとめ

後半少し話が逸れてしまいましたがまとめです。

86の心臓であるFA20エンジンは、通常よりも高油圧でオイルが循環しているため、適正な油温による油膜保持がより重要ですが、構造上86は油温が非常に上がりやすいです。

なので、

・86でサーキット走行を行う方は、オイルクーラーの導入は必須です!

・水冷式のオイルクーラーでは容量不足

・空冷式のオイルクーラーが確実な油温低下が見込めます。

・しかし、チューニングである以上、故障リスクとは常に隣り合わせ。

・日常点検は自分でもしっかりしましょう!

という結論で締めくくらせていただこうと思います。

私の経験はあくまで個人の一例に過ぎませんので、特定のパーツを非難/推奨するものでは決してありません。ですがどんなチューニングを行うにしても、純正が持つ耐久性や、バランスに影響を及ぼす可能性があることを十分理解して、あくまでも自己責任でクルマのカスタムは楽しみましょう!

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クスコ水冷式オイルクーラー

BLITZ空冷式オイルクーラー86後期用(改良版)

大事な部分をきちんと気をつけていれば、クルマのカスタムはとても楽しいものです。

ですが、モラルに反する改造や、安全を損なうようなカスタマイズは絶対にダメですよ!

これからも、スポーツカーの魅力が多くの方に伝わるようなブログ運営をしていきたいと思います。

カッコいいクルマに乗っている人・乗りたい人が少しでも増えるように頑張ります!最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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